tsukumo

2021年10月3日日曜日

岸田新総裁でルールは変わるのか

 2021年9月の自民党の総裁選で、岸田文雄さんが新総裁に選ばれました。

岸田さんに対する私の個人的感想は、しっかりした大人な人ですね。そして、緊縮財政派で財政均衡主義、増税したい人という印象です。

という従来の一般的印象と一変して、総裁選ではコロナ対策で30兆円の補正予算を組むとか消費税は10年間上げませんとかの主張をしていました。本人曰く、岸田は変わったらしいですね。さらに、主に二階さんの事を指していますが、党役員の任期を1年にして党内の新陳代謝を目指すそうです。

総裁選が終わってすぐに、報道ベースで金融所得増税の報道があり、総裁選での増税派であるというのを否定していたスタンスに疑念の目が向いているというのが、現状です。報道に対してすぐに否定なり肯定なりしてくれればマシなんですが、特に言及は無しですね。マーケット的には「噂」「スクープ」的なモノが、本人の口から肯定も否定もなく「わからない」状態が一番悪いわけで正にそのパターンですね。

さて、岸田総理が誕生した暁には、「分配」に重きを置くそうです。小泉改革に端を発した所謂「新自由主義」から脱却して「日本型資本主義」を目指すそうです。「株主資本主義から脱却」というのもありましたね。そして「令和版所得倍増計画」をするそうです。

現在、貧富の差の解消というのは、アメリカ、中国でも課題に上がっています。中国の場合は14億人のうち半分の人民は月額10万以下で暮らしているでしょうし、みんな借金しすぎ問題もあるでしょう。アメリカは、家賃、住宅価格、食事など価格が高騰しているものも多く、コロナで雇用情勢が悪化してから国民3億人の給与とインフレのバランスが崩れているような印象です。

日本に目を移すと、中国やアメリカと比べれば、まだ、貧富の差も開いていないですし、インフレ気味ですが物価の安定は一応成功している部類だと思います。さらにアメリカや中国と比べて、健康保険制度はシッカリしていますし、国民年金もそれだけでは老後の生活は不安でしょうが将来の家賃くらいの金額は誰でも貰える様になっています。厚生年金に入っていれば、老後もなんとか生きていけるくらいの額は貰えるでしょう。現状、日本で真面目に生活してれば、滅多な事じゃ死なないという結論になると思います。

本当に所得を倍増させようと思ったら、どうしますか?というのは疑問ですよね。岸田さんの発言の端々を聞いていると所得の分配の偏りがある事が原因であるような感じでお話しされているように感じました。国民の所得は、一人当たりGDPと関係があるわけで、所謂「生産性を上げる」事で一人当たりGDPを上げて給与も上げよう、とするのが王道だと思います。さらに日本固有の高齢化という事象もあり、フルタイムで働いていない、働けない人もいるわけで、そういう人も加味すれば一人当たりGDPが少なく見える影響も多少なりともあると思います。

分配の問題と国民の所得の増加は同じようですが分けて考えるのが一般的だと思います。

岸田さんの考えている事が、イマイチ、私的には汲み取れていないというのが率直な印象で、岸田さんは色々とお話しされるんですけど、芯を食ったところが無いですよね。

所得倍増計画でいえば、実質賃金(物価変動の影響を差し引いた賃金)を倍にするというのであれば、日本の場合、輸入品がほとんどなわけですから円のレートを例えば、ドル円で40円とか50円にすれば賃金の額面が変わらなくても実質賃金は上がったという事になるでしょうし。もっと言えば、生産拠点は全て海外に移せば円高メリットで日本国内在住であれば安くモノを買えます。

逆に名目賃金を追っていくんでしたら、ハイパーインフレでも起こして円を紙屑にすれば、賃金の額面だけは増えます。

昨今の民主党政権時の方が、実質賃金が高かったというのは、主に為替レートで円が過大評価されていてなんでも安く買えていただけというのが実際です。

マーケットに話を戻せば、金融緩和は継続するのか?黒田さんの次の人事は?金融所得増税の報道が真実か?株主軽視の政策に転換するのか?企業の成長より賃金の分配の方に舵を切るのか?というように疑問符が沢山ついている状態ですね。

国の富の源泉は企業活動ですし、当然、国民の所得の源泉もほぼ企業活動から出ています。それを忘れて企業活動を妨げるような政策をして滅茶苦茶にならない事だけは祈っています。

現在の「噂」の状態では日本に投資するのは、あまり具合が良くないですよね。

明確なメッセージも無いですしね(笑)

私自身の身の振り方も考えないといけない時期に差し掛かっているのかもしれませんね。