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2018年8月3日金曜日

日銀の金融政策



2018年8月31日に日銀金融政策決定会合の結果が発表されました。

黒田日銀総裁が、就任してから、「マネタリーベースを2年で2倍、物価も2%を目指す。」という、今までの日銀と違い、「明確な目標(物価目標2%)」「明確な手段(マネタリーベースを2倍にすることで)」でアベノミクスの柱として機能してきました。

  日銀ホームページより引用
http://www.boj.or.jp/finsys/index.htm/
2013年(平成25年)には、「量的・質的金融緩和」が開始され、金融市場調節の主たる操作目標は、無担保コールレートからマネタリーベースに変更されました。金融市場調節方針は、「マネタリーベースが、年間約○○兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」などと定められました。また、併せて、資産買入れの方針が定められ、例えば長期国債の買入れについては、「保有残高が年間約○○兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う」などとされたほか、CP、社債、ETF、J−REITなどの買入れも継続されました。
2016年(平成28年)1月に導入された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでは、こうした金融市場調節方針や資産買入れ方針が維持されたほか、補完当座預金制度が改正され、政策金利として、日本銀行当座預金のうち「政策金利残高」に▲0.1%のマイナス金利を適用することが決定されました。
同年9月の金融政策決定会合において導入された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとでは、金融市場調節方針は、長短金利の操作についての方針を示すこととなりました。同会合では、具体的に、短期の政策金利については、「日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する」と定められました。また、長期金利の操作目標について、「10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80 兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」などと定められました。このほか、CP、社債、ETF、J−REITについては、引き続き、資産買入れ方針が定められています。
2013年春から、日銀はマネタリーベースを基準にして年間〇兆円の国債を市場から買い上げると共に、ETF,JREIT,社債、CPといった金融資産も市場から買い上げることにしました。

今までの日銀と何が違ったのか、というと、

たとえば、

「ETFを年間〇兆円買います。」

「長期国債を年間〇兆円買います。」

と宣言したことですよね。

これなら、バカでも理解できます。日本語を理解できない外国人投資家でも理解できます。

たとえば、「今年は、まだ〇兆円しか買ってないから、あと〇か月で〇兆円を日銀はETFを買えるよね。」というように単純でした。「あと〇兆円買えるし、今日は、日経平均がマイナスがキツイから、日銀がETFを買うんじゃないだろうか。」というように予想もつきやすかったのではないでしょうか。そして、この分かりやすい論理が、外国人投資家も日本株を買いやすかった理由でしょうし、日本人投資家も買いやすかった理由でしょう。さらに、その安心感が、8000円台だった日経平均が2万円を越えてきた原動力だったと思います。

さて、物価目標2%を目指して、金融資産を市場から買い上げる理解しやすい手段を取ってきた日銀ですが、金融資産を買っても買っても、物価上昇率は、2%に届きません。
黒田総裁が就任時に宣言した「2年で2%」のインフレには、結果的に達成することはなりませんでした。

黒田総裁が就任して3年が過ぎた2016年の秋に「長短金利操作付量的・質的金融緩和」にそれまでの金融政策からマイナーチェンジしましたそれまで、年間に債権を〇兆円買う、と宣言して、実際に買い続けた日銀でしたが、金利目標はそのままに、購入する債権の量と、種類(長期・短期)は日銀が判断する、というように変わりました。

個人的には、この時点で、普通の金融政策だと思いました。

「物価目標は、2%で、その手段としての金利目標も0%近傍で、日銀が買う債権の種類と量は裁量で判断する。」

結果としては、日銀が年間に買い入れる債権は、減りました。

さて、今回の日銀の金融政策のマイナーチェンジは、

「物価目標は2%、金利目標は、多少の金利変動を容認する。日銀が買う債権の種類と量は裁量で判断する。」

という風に、物価目標以外は黒田総裁が就任した時とは変わりました。

個人的には、債券まわりは、もう正常化したんじゃないかと思っています。「物価目標2%を達成するために低金利を維持します。」という事ですから、今は、物価目標が2%に届きそうもないので低金利を維持しますし、金利が上がりそうになったら債権を買い入れて対処します。という普通の金融政策だと思います。逆に、金利が下がりすぎたら逆の事をすることは容易に想像がつくと思います。

では、今後は、ETFとか、REITまわりを日銀が弄るかどうかですよね。今回のマイナーチェンジで、ETFは、日経225型からTOPIX型に重点を置くように変更されました。

普通に考えて、償還期限もないETFやREITを日銀が永遠に買い続けるのもおかしな話なわけで、いつかは、ETFなどを買うのを縮小していくのだと思います。

ETF買いを縮小した場合、外国人投資家はどう動くのか、国内投資家はどうするのか、多少は需給的なシュミレーションしておいた方が良い時期に来ているのかな、と思いました。




 










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